抄録
ヒトで外受容性振動誘発指屈曲反射 (以下, 反射と略す) を指標とし, 合谷と他の部位の経穴の組合せ鍼刺激効果について検討した結果, 被験手 (左) の近隣の合谷―偏歴の組合せ鍼刺激では合谷の単穴刺激に比し約2倍の反射の抑制効果を認め, 遠近部の合谷―足三里の経穴の組合せ鍼刺激では約4倍の反射の抑制効果を認めた。
しかし, 合谷と肺兪, 合谷と大腸兪, 合谷と列欠, 合谷と少海などの組合せでは, 合谷の単穴刺激効果を上回る反射の抑制効果が認められず, いずれも合谷単穴の刺激効果と同程度であった。
又, 合谷と百会の組合せでは合谷の鍼刺激による反射の抑制作用が消失するという相殺効果をみた。
これらの所見は, 中枢における impulse の相互干渉によって多シナプス反射機構が複雑に関与していることを推測させるとともに反射の抑制効果の出現様式より体液性の要因の関与も推測され, 経穴の組合せ鍼刺激についてさらに厳密な基礎・臨床面の検討の余地のあることが示唆された。