抄録
鍼灸臨床において診察点あるいは治療点の一部として繁用されている圧痛の臨床的意義を明らかにするため, 研究の第一段階として腰痛患者81名と健常者40名の圧痛の出現率を調べ, 比較検討した。圧痛測定部位は腰部, 仙骨部, 殿部および下肢の領域で, 鍼灸臨床で腰痛患者の診察点・治療点として繁用される部位32か所を選んだ。圧痛の測定方法は, 臨床的手法に準じて拇指尖または栂指腹で5~6kg/cm2の圧迫を行い, 中枢側の測定部位から順に行った。その結果, 腰痛患者は健常者と比較すると圧痛が明らかに高率で出現し, しかも“著明な圧痛”が多く出現した。圧痛は, 大きな負荷がかかり炎症や損傷を起こしやすい部位や神経走行部位に多く出現し, 病変の所在や程度を示す一つの指標となり得ることが示唆された。