全日本鍼灸学会雑誌
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鍼灸医学の立場から見た人体横断解剖 (1)
沢井 勝三椎野 瑞穂木村 明彦五味 敏昭橋本 長岸 清
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1991 年 41 巻 3 号 p. 271-280

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抄録

刺鍼の深さとその周囲の臓器の位置関係を調べるために, 足の太陽膀胱経を基準にした人体横断標本を作成して, 体表から何mmでどの組織, 器官に鍼先が達するかを検索した。今回は, 大椎穴 (督脈) から厥陰兪穴 (足の太陽膀胱経) までの5横断面について検索した。大椎穴を基準とした横断面では, 体表より鍼を刺入させると皮膚を7.5mmで貫き, 皮下組織を28.5mmで貫いて第7頸椎棘突起に鍼先が達する。体表より第7頸椎棘突起まで36mmを計測できた。大杼穴では, 皮膚を6mmで貫き, 皮下組織を8mmで貫き, 僧帽筋を5.5mmで貫き, 菱形筋を10mmで貫き, さらに固有背筋群を14mmで貫いて第2肋骨に鍼先が達する。体表より第2肋骨まで43.5mmを計測できた。風門穴では, 皮膚を7mmで貫き, 皮下組織を5mmで貫き, 僧帽筋を3.5mmで貫き, 菱形筋を4mmで貫き, さらに固有背筋群を18.5mmで貫いて第3肋骨に鍼先が達する。体表より第3肋骨まで38mmを計測できた。肺兪穴では, 皮膚を6mmで貫き, 皮下組織を4mmで貫き, 僧帽筋を3mmで貫き, さらに固有背筋群を22mmで貫いて第4肋骨に鍼先が達する。体表より第4肋骨まで35mmを計測できた。厥陰兪穴では, 皮膚を5mmで貫き, 皮下組織を3mmで貫き, 僧帽筋を4mm貫き, さらに固有背筋群を21mmで貫いて第5肋骨に鍼先が達する。体表より第5肋骨まで33mmを計測できた。以上の結果を鍼灸医学臨床における深さの立場から考察した。

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