1. 自律神経機能の検査法を纒めると, 次のようになる。
1) 健常者の安静仰臥位におけるMとCV
安静仰臥位は, 副交感神経機能の優位状態である。安静仰臥位で, Mに異常があること自体, すでに自律神経の不均衡があると考えられる。Mの高値は, 交感神経の機能亢進型である。Mの低値は, 交感神経の機能低下型である。CVの高値は, 副交感神経の機能亢進型である。CVの低値は, 副交感神経の機能低下型である。
2) 健常者の深呼吸負荷におけるMとCV
安静仰臥位での深呼吸負荷は, より副交感神経機能の優位状態である。安静仰臥位に比較して, Mが減少しCVが増加するのが正常で, Mの減少CVの減少と, Mの増加CVの増加と, Mの増加CVの減少は, 異常である。
3) 立位負荷におけるMとCV
立位負荷は, 交感神経機能の優位状態である。安静仰臥位に比較して, Mが増加しCVが減少するのが正常で, Mの増加CVの増加, Mの減少CVの減少, Mの減少CVの増加は, 異常である。
2. 健常者の年齢補正は, 次のようになる。
1) 安静仰臥位における心拍数年齢補正式は,
Y=126.153-16.187×Log
eX(Xは年齢)。
2) 安静仰臥位における変動係数年齢補正式は,
Y=10.818-1.993×Log
eX(Xは年齢)。
3) 深呼吸負荷における変動係数年齢補正式は,
Y=24.293-4.738×Log
eX(Xは年齢)。
4) 立位負荷における変動係数年齢補正式は,
Y=7.398-1.277×Log
eX(Xは年齢)。
3. 一目瞭然であり, かつ全く新しいMCV図法を, 指尖容積脈波計に応用することにより, 安静仰臥位と深呼吸負荷と立位負荷の, M
P-PとCV
P-Pのデータを, MCV図にプロットすると, 交感神経機能や副交感神経機能の, 総合的な評価ができる。またMCV図法は, いろいろな負荷検査に対しても, 使用できるものである。ただし, 測定条件は心電図計よりも厳密にすることが大切である。
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