全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
脱毛症の鍼灸治療に関する基礎的, 臨床的研究 (I)
頭皮, 全身所見の調査に基づく脱毛症の成因と鍼灸治療の可能性に関する考察
梶間 育郎森 和矢野 忠国安 則光原田 拡
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 42 巻 4 号 p. 308-318

詳細
抄録

脱毛症の成因については皮膚科学に於いても明確な説明が得られていない。我々は鍼灸治療の種々の脱毛症に対する有効性を検討し, その治療方針を考案するために従来の成因に関する諸説, 及び鍼灸による治験報告を再考すると共に、その成因を多角的視野で検討するために脱毛症患者534名を対象として, 頭皮所見と脱毛症に伴う身体症状の調査を行った。休止期毛性脱毛症群では頭皮の血行不良と身体的過緊張に深い関係がみられた。成長期毛性脱毛症群では自律神経系の変調を想起させる症状が頭皮と身体の双方に高率に認められた。
よって脱毛症は頭皮のみの疾患ではなく, 全身的機能変調の表出と考えられる。

著者関連情報
© 公益社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top