抄録
日本経穴委員会では, 1989年に合理的な比例配分による経穴の標準部位を決定し, 同名異穴の表記については,「手三里」のように部位名を経穴名に冠することで決定をみた。しかし, 同名異穴の呼称法については, 研究が未完成であるため, 今後の課題として残されている。その検討の一端として, 中国の古代から日本の江戸時代に至る文献の中で, 同名異穴をどのように表記し, どのように呼称していたかを調査し, 今後, どのようにあるべきかを考察した。
調査文献中の表記の分析より, 日本において, 江戸時代までは部位を訓読みし, 部位名と経穴名との間に格助詞“ノ”をいれて呼称した例が多くみられたが, 同時に表記における不統一性も数多く存在した。呼称においても, 統一しようとする意向はなく, 自由に呼んでいたと考えられる。
表記について統一された今, これからの同名異穴の呼称を考えるとき, 解剖学の固有名詞の読み方, WHO採用の経穴の読み方, 他の経穴の読み方など総合的に考え合せ, 部位名も経穴名も音読みに, 例えば「手三里」を「シュサンリ」と呼称することを提唱する。