全日本鍼灸学会雑誌
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不定愁訴に対する鍼治療の一症例
特にうつ状態性愁訴に対して
絹田 章
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1996 年 46 巻 2 号 p. 96-101

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抄録

現代社会は多くのストレスに満ちあふれ不定愁訴に悩む人々が増加している。またその年代層も確実に拡がりつつある。
今回, 平成3年7月頃 (当時20歳) より種々不定愁訴を覚えるようになり, 次第に悪化し, 10月中旬幻覚症状がでてきたのでS病院に入院し, うつ病の治療を受療したが, 退院後も種々不定愁訴を訴えている患者に鍼治療を施し, その有効性を客観化するため (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班作製の健康チェック表を使用して検討した。その結果, うつ状態性愁訴が他の層別と比較して特に減少が認められた。それはうつ状態性項目の頭重や頭痛がある, 目がつかれるの2項目の大幅な改善がみられたためであった。この症例により健康チェック表の層別の意義と鍼治療の有効性を層別的に見い出すことが示唆された。今後, 特にうつ状態愁訴が改善される経緯について症例を集積して明らかにしていきたい。

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