全日本鍼灸学会雑誌
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糖尿病に対する鍼治療の一症例
山田 篤中村 弘典水野 高広黒野 保三
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2001 年 51 巻 2 号 p. 170-174

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抄録

本症例は、運動不足、過食多飲、 仕事によるストレス等が糖尿病発症の原因と思われ、また、口渇等の自覚症状はなく肥満もあることから、2型糖尿病であると推察された。したがって、血糖コントロールを良好に保つことを目的とした鍼治療を行った。
糖尿病患者は手術後に血糖コントロールが悪化する症例が多いが、これまで手術後の血糖コントロールに対する鍼治療の検討をした報告はない。
そこで今回、人間ドックで糖尿病と診断された患者に鍼治療を行った結果、HbAlcは鍼治療開始から1-2ヵ月後の値は8.7-8.6%であったが、3-4ヵ月後には7-7.4%となり、その後6%前後で安定した。FBGは鍼治療前の値が222mg/d1が約一ヵ月後には150mg/d1と低下し、その後多少幅があるがFBGは安定した。
また、胃の亜全摘出手術 (胃癌) を受けた後も再来院して鍼治療を続けたところ、HbAlCとFBGは安定し、最終時のHbAlCは5D%、FBGは112mg/d1、血糖コントロール基準と比較すると、HbAlcは優、FBGは良となり、鍼治療が血糖コントロールに対して何らかの影響を与えたものと思われた。

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