はじめに : 本研究の目的は腎兪 (BL23) の経穴特性と遠道刺としての遠位経穴刺鍼の意義の検討と、その上行性興奮伝播経路の確認である。
方法 : インフォームドコンセントを得た腰痛患者成人24名を対象に、前報の足太陽膀胱経委中 (BL40) の遠位経穴である承山 (BL57) ・飛陽 (BL58) ・崑需 (BL60) を通電刺激し、腎兪の応答性を、刺激前から刺激後最大90分間にわたって測定した。
結果 : i) 通電刺激前の、腎兪の応答性は、男性群の方が女性群よりも低かった。ii) 承山通電刺激による腎兪の応答性は男性群で明らかに上昇、女性群では下降した。iii) 飛陽刺激では、男性群で変化なく、女性群では著明な下降がみられた。iv) 崑崙刺激では、男性群では変化なく、しかし、女性群では有意に上昇した。
結論 : 以上の成績から、承山・飛陽・崑崙刺激実験では体幹部腎兪の応答性は、腰痛患者に於いて多様に変化することと経絡・経穴特性などを確認した。