全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
高齢者の慢性腰痛に対するトリガーポイント鍼治療の試み
腰下肢後面経穴への鍼治療で効果の得られなかった3症例に対する検討
伊藤 和憲越智 秀樹池内 隆治北小路 博司勝見 泰和小嶋 晃義
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 53 巻 4 号 p. 534-539

詳細
抄録

【目的】高齢者の慢性腰痛に対し腰下肢後面の経穴へ鍼灸治療がしばしば行われているが、効果の見られない症例も存在している。そこで腰下肢後面の経穴治療で効果の得られなかった慢性腰痛に対してトリガーポイント鍼治療を試みた。
【対象および方法】症例は6ヶ月以上慢性的に腰痛が存在している74, 71, 66歳の高齢者で、姿勢変化を呈しているが深部腱反射や筋力検査などの神経学的所見には異常のない患者であった。
【結果】腰下肢後面の経穴に対して鍼治療を行っても症状に大きな変化は見られなかったが、トリガーポイント鍼治療を行うと主観的な腰部の痛みや疼痛生活障害評価尺度などの臨床症状に改善が見られた。
【考察】このことから、腰下肢後面経穴への鍼治療で効果の得られない高齢者の慢性腰痛患者には、トリガーポイント鍼治療が効果的であると考えられた。

著者関連情報
© 公益社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top