2003 年 53 巻 4 号 p. 534-539
【目的】高齢者の慢性腰痛に対し腰下肢後面の経穴へ鍼灸治療がしばしば行われているが、効果の見られない症例も存在している。そこで腰下肢後面の経穴治療で効果の得られなかった慢性腰痛に対してトリガーポイント鍼治療を試みた。
【対象および方法】症例は6ヶ月以上慢性的に腰痛が存在している74, 71, 66歳の高齢者で、姿勢変化を呈しているが深部腱反射や筋力検査などの神経学的所見には異常のない患者であった。
【結果】腰下肢後面の経穴に対して鍼治療を行っても症状に大きな変化は見られなかったが、トリガーポイント鍼治療を行うと主観的な腰部の痛みや疼痛生活障害評価尺度などの臨床症状に改善が見られた。
【考察】このことから、腰下肢後面経穴への鍼治療で効果の得られない高齢者の慢性腰痛患者には、トリガーポイント鍼治療が効果的であると考えられた。