2005 年 55 巻 5 号 p. 697-705
【目的】本邦における鍼灸治療の利用状況、利用目的などを明確にする目的で調査を行った。
【方法】2003年3月に、全国20歳以上の男女からのランダムサンプル2,000名を対象とした面接調査を実施した。
【結果】2,000名の対象のうち、1,420名 (71.0%) から回答を得た。調査時点から過去1年以内に鍼灸治療を受診した者は6.5%、自宅で利用した者を含めると全体の7.5%が、1年間で鍼灸治療を利用していた。過去に経験がある者は、全体の26.4%であった。鍼灸治療を受けた目的は筋・骨格系の愁訴が大半を占めていた (81.6%) 。鍼灸治療を受けるきっかけは、家族や知人の紹介が多かった (58.7%) 。
【考察】鍼灸治療利用率は、欧米諸国より高く、古くから民間に親しまれてきたことを反映していると考えられた。受診の動機として家族や知人の勧めが多かったのは、直接身体に触れる機会が多い治療の特質も関与していると考えられた。