全日本鍼灸学会雑誌
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腰痛に対する鍼治療
偽鍼を対照群に用いた多施設ランダム化比較試験
河瀬 美之石神 龍代中村 弘典服部 輝男皆川 宗徳甲田 久士井島 晴彦加納 俊弘絹田 章校條 由紀黒野 保三
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2006 年 56 巻 2 号 p. 140-149

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抄録

【はじめに】腰痛に対する筆者らの通常行っている鍼治療法の効果の有無を確かめる目的で、同じ治療法を行っている11施設 (愛知県・岐阜県) でインターネットを用いた無作為化割付プログラムによるランダム化比較試験を行った。
【方法】ランダム割付群をA群 : 太極療法+低周波通電置鍼療法、B群 : 太極療法のみ、C群 : 低周波通電置鍼療法のみ、D群 : 偽鍼とし、1回の割付治療を行った後に評価をし、その後に最終的に太極療法+低周波通電置鍼療法を行って再評価を行い終了とした。評価方法は腰痛に対するVAS (Visual Analogue Scale) と日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準 (JOAスコア) に基づいた患者による腰痛評価表を使用した。
【結果】VAS、JOAスコア共にA・B・C群では1回の鍼治療前後で有意な改善 (p<0.05) が認められたが、D群では有意な改善が認められなかった。また、治療法別の改善に関しては有意差が認められなかった。
【考察・結論】筆者らが通常行っている鍼治療の有効性が認められ、偽鍼の有効性は認められなかった。偽鍼の定義がなく、鍼治療が偽鍼より効果的であることの証明は明確にされておらず、今後の研究課題である。

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