日本臨床麻酔学会誌
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Appleby手術の麻酔における肝静脈血酸素飽和度モニタリングの決定的役割
貝沼 関志
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2004 年 24 巻 9 号 p. 424-431

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抄録
肝静脈血酸素飽和度 (ShvO2) モニタリングは肝臓手術での応用をKainumaらの報告以来, 臨床的に肝腹部内臓領域での虚血をリアルタイムに測定する方法として国際的に広く用いられている. Appleby手術では, 膵体尾部切除と平行して腹腔動脈, 総肝動脈の切除が行われるため, 術後肝臓虚血および肝不全の危険がある. これを防止するために, われわれはAppleby手術の全例において麻酔科医が右肝静脈に肝静脈カテーテルを挿入し肝静脈血酸素飽和度モニタリングを行っている. ShvO2は, Appleby手術においては, リアルタイムに肝酸素需給バランスが持続的に表現されるため, 術中外科操作による肝虚血の防止だけでなく, Appleby手術を行うかどうかの術中判断においても決定的役割を果たす. 症例をさらに重ねることによりAppleby手術におけるShvO2モニタリングの有用性についてより高いレベルのエビデンスが得られることが望まれる.
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© 2004 日本臨床麻酔学会
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