2005 年 25 巻 1 号 p. 25-32
経頭蓋超音波ドプラー法 (TCD) による脳血流速の測定は, 過去20年以上にわたり, 頭蓋内疾患の診断・評価を始め, 頸動脈再建術などの動脈遮断時や体外循環を用いた心臓・大血管手術時の脳虚血モニターとして応用されてきた. TCDは使いこなすのに若干の知識と熟練が必要であるが, 非侵襲的かつリアルタイムなモニタリングであるため, 手術時モニタリングとしての有用性は高く評価されている. 本稿では, TCDの原理に始まり, 各種疾患におけるTCDモニタリングの有用性, 測定上および結果の解釈における注意点などを概説する.