日本臨床麻酔学会誌
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脳・脊髄障害の術中モニタリング
内頸静脈血酸素飽和度
入田 和男甲斐 陽一郎野田 祐紀子永田 太郎濱崎 亜弓高橋 成輔
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2005 年 25 巻 1 号 p. 33-41

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抄録

  急性期医療の現場では, 脳血流量と脳酸素消費量を直接評価することは困難であるが, 内頸静脈血酸素飽和度によりその相互関係を推し量ることが可能である. 光ファイバーを装着したカテーテルを用いることによって連続モニターが可能であり, 処置に対する内頸静脈血酸素飽和度の反応を観察することによって, その変動の原因診断ならびに治療の妥当性を評価することができる. したがって, 脳酸素需給バランスがダイナミックに変動する状況において, とくに有用である. 内頸静脈血酸素飽和度は, ヘモグロビン濃度や動脈血の二酸化炭素ならびに酸素分圧, 平均動脈圧など, 呼吸・循環・代謝の影響を受けることから, 脳指向の全身管理という観点からも重要な情報源となる. 脳虚血の有無は, 代謝の指標 (内頸静脈血pH・PO2・PCO2・乳酸値・血糖値) や内頸静脈血温も参考に評価する. 内頸静脈血酸素飽和度ならびに内頸静脈血は急性期医療の現場において, 情報量の少ない脳由来のシグナルとして貴重なものである.

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© 2005 日本臨床麻酔学会
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