抄録
われわれの研究室はイソフルラン吸入が心筋虚血再灌流障害に対するイヌの心筋梗塞サイズを減少することを1997年に初めて報告した. この現象は後にAnesthetic preconditioning (APC) と呼ばれ, 近年, 吸入麻酔薬が虚血障害に対して心筋を保護することを証明する多くの論文が報告されている. また, われわれは最近イソフルラン吸入によってウサギの心筋で活性酸素が発生し, その活性酸素がイソフルランによる心筋保護の作用機序に重要な役割を果たしていることを報告した. ここでは行った実験の結果を紹介しながら, APCの作用機序, とくに活性酸素の役割について述べる.