日本臨床麻酔学会誌
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25 巻, 2 号
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総説
  • 山田 博胤, 大木 崇
    2005 年 25 巻 2 号 p. 111-125
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/21
    ジャーナル フリー
      心筋の局所壁運動を定量的かつ客観的に評価することを目的として, 組織ドプラー法が開発された. 本法はパルス組織ドプラー法とカラー組織ドプラー法に分類され, それぞれに長所と短所がある. パルス組織ドプラー法を用いて記録される左室壁あるいは僧帽弁輪の運動速度波形の解析から, 左室の収縮および拡張動態に関する種々の新しい知見が得られ, 左室局所の収縮能あるいは左室全体の拡張能を前負荷に影響されることなく評価することができ, 臨床的有用性も確立しつつある. 一方, カラー組織ドプラー法から発展したストレイン映像法や組織トラッキング法は, 心臓全体の運動に影響されることなく局所心筋の収縮・拡張能を正しく評価できる点が優れている. これらの方法は, 心臓再同期療法など新しい治療法においても応用されており, 将来は心筋組織性状の非侵襲的診断にも用いられる可能性がある.
  • 河野 崇, 大下 修造
    2005 年 25 巻 2 号 p. 126-137
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/21
    ジャーナル フリー
      ATP感受性K+ (KATP) チャネルは, 内向き整流K+チャネル (Kir6.x) とスルフォニル尿素受容体 (SUR) が合わさった複合型の分子構造で機能していることが明らかとなった. 遺伝子改変動物を用いた解析からKATPチャネルの機能的役割も解明されつつあり, 血管平滑筋細胞のKATPチャネル活性は冠動脈攣縮の予防に重要であることが判明した. KATPチャネル開口薬やスルフォニル尿素系経口糖尿病薬はSURに作用し, 組織特異的な薬理反応を引き起こすと考えられている. また, 多くの麻酔薬もKATPチャネル活性にさまざまな影響を与えることが報告されている. 本稿ではおもに血管平滑筋細胞の細胞膜KATPチャネルについて, 最近の知見を踏まえ概説する.
原著論文
  • 天野 一暁, 野間 秀樹, 宮川 慈子, 奥谷 龍, 太城 力良
    2005 年 25 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/21
    ジャーナル フリー
      一般のパルスオキシメータは体動がなければ±2%程度の誤差範囲で測定値を保証しているが, 体動や低灌流などのノイズ存在下での性能には機種により差がある. 今回, 新しいノイズ対策を施した3機種を用い, 健康成人6名を対象に, SpO2>70%の範囲で体動・低灌流条件のもと, 対照としたパルスオキシメータの測定値と比較した. その結果, 測定不能表示を出しにくい機種は誤答率が高い傾向を認めた. また, ノイズによる測定不能時にノイズ発生前の値を表示し続ける機種は, SpO2が変化していないときには有利であった. どの機種も相当の体動・低灌流条件下でも測定可能であったが, おのおのの特性を十分理解したうえで, 使用目的に合った機種を選択することが好ましいと考えた.
  • 比企 美加
    2005 年 25 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/21
    ジャーナル フリー
      冠動脈バイパス術を予定した虚血性心疾患の31症例を対象とし, 経食道心エコー法 (TEE) により, 人工心肺離脱後の胸骨閉鎖操作が心室中隔の壁運動に及ぼす影響を検討した. TEEでは, 壁厚増加率の5段階半定量評価と心筋組織ドプラー法による定量評価を行った. 胸骨閉鎖により心係数は減少したが, その他の血行動態の指標は変化しなかった. 壁厚増加率の半定量評価では変化がみられなかった. 組織ドプラー法の指標のうち, 最大収縮速度は低下したが, ストレインとストレインレートは変化しなかった. このことより, 胸骨閉鎖は心臓全体の心尖部方向への移動を制限することにより最大収縮速度を見かけ上低下させるが, ストレインやストレインレートで評価される実際の心室中隔壁運動には影響を与えないことが示された.
  • 山蔭 道明, 山本 浩貴, 並木 昭義
    2005 年 25 巻 2 号 p. 154-161
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/21
    ジャーナル フリー
      エデト酸ナトリウム (EDTA) を含むプロポフォールと含まない製剤間で, 代表的な常在菌と真菌5種, さらに日和見感染で問題となる細菌2種を室温下で培養し, 増殖の程度を比較検討した. 6時間後の時点ではどちらの製剤においてもなんら菌の増殖は認めなかった. 12時間後の時点ではどちらの製剤においても黄色ブドウ球菌, 緑膿菌ならびにカンジダ菌の増殖を認めなかったが, 大腸菌はEDTAを含まない製剤で約1.4倍 (log10) に増殖した. さらに, セラチア菌 (常在菌) は両者で1.4~1.7倍増殖した. セパシア菌および菌株の異なるセラチア菌は12時間後に両製剤で増殖した. プロポフォール製剤の使用にあたっては, いずれの製剤においても単回使用や無菌操作など細心の注意が必要である.
症例報告
—日本臨床麻酔学会第23回大会 パネルディスカッション—
臓器虚血対策—プレコンディショニングによる戦略—
—日本臨床麻酔学会第23回大会 特別講演—
小坂二度見先生追悼講演
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