日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第23回大会 シンポジウム—
肺病変の修復・再生へのアプローチ
肺の組織修復・再生因子による病変修飾 —新たな肺組織障害因子と線維性再生因子からの検討—
岩坂 日出男
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2005 年 25 巻 3 号 p. 301-309

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抄録

  肺障害においては急性期の肺障害機序を明らかにすることと, 障害後に生じる肺線維化が無機能肺となるための修復過程における肺線維化の防止が重要である. 急性肺障害では新たな肺障害因子としてHMGB1 (High Mobility Group Box 1) 蛋白が重要である. LPS投与マウスを用いてHMGB1の受容体であるRAGE (receptor for advanced glycation) 抗体の投与を行うことで急性肺障害の改善と生存率の改善が得られた. 熱ショック蛋白質47 (HSP47) は肺組織再生の線維化に特異的な因子であることが明らかになった. そこで, HSP47のアンチセンスをブレオマイシン投与ラットに投与すると肺線維化が改善され, 生存率の改善が得られた. 肺障害急性期でのHMGB1シグナル伝達の制御と慢性期での肺線維化のHSP47アンチセンスによる制御は, 肺障害の治療に有効であると考えられる.

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© 2005 日本臨床麻酔学会
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