日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第24回大会 教育講演—
麻酔薬の薬物動態 —基本的な考え方, 臨床使用にあたって何に気をつけるべきか—
小田 裕
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2005 年 25 巻 5 号 p. 447-454

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抄録

  薬物動態に最も大きな影響を及ぼすのは代謝である. したがって, 薬物動態を考慮する際には, 代謝が肝血流量依存性か, 肝代謝酵素活性依存性かの判断が重要である. 前者の場合は, 肝血流量の減少によって薬物の血中からの排泄が遅延する. 後者の場合は, 肝代謝酵素活性 (とくにチトクロームP450, 以下P450) を阻害する薬物の併用に注意すべきである. またP450活性には人種差や個体差が存在し, 特定の人種や個体では一部のP450分子種の含量がとくに少なく, そのP450で代謝される薬物の効果が著しく遷延したり, 副作用が生ずる可能性がある. さらに, 薬物動態から肝臓の酵素活性を推定することが可能で, 薬物療法におけるテーラーメイド治療に向けた臨床応用が期待される.

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© 2005 日本臨床麻酔学会
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