日本臨床麻酔学会誌
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原著論文
麻酔中の肺酸素化能に及ぼす冠拡張薬の影響 —ニコランジルとニトログリセリンの比較—
羽場 政法小川 幸志堂城 真友子畑埜 義雄
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2006 年 26 巻 1 号 p. 66-72

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抄録

  血管拡張薬は低酸素性肺血管収縮を抑制し, 肺酸素化能を低下させる可能性がある. 硝酸薬としての作用と KATPチャネル開口薬としての作用を併せもったニコランジルの持続静脈内投与が肺酸素化能に及ぼす影響を, ニトログリセリンのそれと比較検討した.
  心筋虚血危険因子を有する非心臓手術症例50例において, 術中虚血予防のためニトログリセリンあるいはニコランジルを持続静脈内投与し, 動脈血酸素分圧に及ぼす影響を無作為, 前向きに検討した. 術中, 心筋虚血を呈した患者は認められなかった. ニトログリセリン投与により動脈血酸素分圧は有意に低下したが, ニコランジル投与ではそのような低下は認められなかった. 術中の心筋虚血予防目的でのニコランジル投与は, ニトログリセリンに比べ肺酸素化能への影響が少なく有用な方法と考えられる.

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© 2006 日本臨床麻酔学会
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