日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
冠動脈バイパス術中に冠動脈に空気塞栓をきたし経食道心エコーにて特徴ある画像所見を呈した症例
渡辺 泰彦小坂 誠
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2006 年 26 巻 1 号 p. 73-76

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抄録

  冠動脈バイパス術中に冠動脈に空気塞栓をきたし, 経食道心エコー (transesophageal echocardiography: TEE) 上特徴ある画像所見を呈した症例を経験した. 67歳, 男性. 他院にて冠動脈バイパス術を施行されていたが, 再狭窄をきたし再冠動脈バイパス術となった. 体外循環離脱時にTEEにて左心室内に空気の貯留がみられ, その後心筋内に高輝度の陰影を認めた. 同時に心収縮性が低下し, 心室細動となった. 時間経過とともに高輝度陰影は消退し, 心機能も回復した. TEE上これらの所見は左心室内の空気が初回手術時のグラフトを経て心筋内に散布されたためと考えられた. 体外循環離脱時にはTEEを用いて心室内の空気貯留の有無を確認することが重要であると思われた.

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© 2006 日本臨床麻酔学会
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