抄録
気腹後に, 動脈血二酸化炭素分圧 (PaCO2) と呼気終末二酸化炭素分圧 (PETCO2) の差 (Δa-ETCO2) の著明な開大を示した腹腔鏡下大腸切除術の1例を経験した. 気腹前から存在した換気血流不均衡が長時間の気腹により悪化し, Δa-ETCO2の著しい開大を呈したものと考えられた. 腹腔鏡下大腸切除術は, 従来の腹腔鏡下手術と比較して気腹が長時間となることが多く, 手術中にΔa-ETCO2が変化する症例の増加が予想される. このような症例に対しては, 術中PETCO2だけでなく, PaCO2の測定が重要であると考えられた.