2009 年 29 巻 7 号 p. 897-900
症例は根治的前立腺全摘術が予定された67歳男性. 入室前に日本麻酔科学会指針による麻酔器の始業点検を行った. 導入時やや麻酔器を動かした. 用手換気で呼気時に換気圧が上昇する傾向がみられたが挿管し, 胸郭の上昇は十分であった. 人工呼吸に切り替えたが, 胸郭の下降が悪く換気のたびに呼気圧が上昇した. 手動換気に切り替えたが同様でありadjustable pressure limiting valve (APL弁) を開放しても気道内圧は下がらず, 回路と挿管チューブの接続を離すことでのみ呼出がなされた. 余剰ガス吸引ラインのねじれ閉塞によるものであることが判明し, これを開放すると解消された. 硬膜外麻酔施行時に麻酔器の位置を動かしていたことがねじれの原因と考えられた.