抄録
胸骨圧迫を中断することなく, 迅速かつ安全に気管挿管することは蘇生率を向上させる可能性がある. 当院麻酔科初期臨床研修医18名を対象とし, 気道管理訓練用マネキンシミュレータを用いて, マッキントッシュ型喉頭鏡 (McL) とエアウェイスコープ® (AWS) による気管挿管所要時間 (挿管時間) と成功率に対する胸骨圧迫施行の影響を検討した. McLを用いた胸骨圧迫中の挿管時間は, 非胸骨圧迫時に比して有意に延長していたが (14.9±4.0秒vs 22.7±6.5秒, P<0.01) , AWSでは延長しなかった (13.3±3.8秒vs14.5±3.4秒) . 胸骨圧迫中の気管挿管成功率はMcL群が55.5% (18例中10例) であったがAWS群は100%であった. AWSを用いたとき, チューブと声門の相対的な位置が胸骨圧迫時も変化しないことから, 正確な挿管が可能と考えられた. 胸骨圧迫中の気管挿管デバイスとしてAWSは有効な可能性がある.