2010 年 30 巻 2 号 p. 297-303
エピドラスコピーの合併症は, 手技に起因するもの, 使用薬剤に起因するもの, 感染によるものに分類される. そのなかでも癒着剥離時の生理食塩水の急速・大量投与が原因で脳脊髄液圧が上昇することによる頭痛, 頚部痛, 痙攣, 視機能障害等の重篤な合併症が最も多く報告されている. 局所麻酔薬や造影剤によるアレルギー反応, 偶発的な血管内注入やくも膜下注入による合併症にも注意が必要である. また, 感染についても十分に留意し, 術中の清潔操作や術後の創部汚染防止などの感染予防策を行うことも重要である. エピドラスコピーの安全性を高めるためには, 合併症・偶発症についての知識とその対応策・予防策についての理解が不可欠である.