日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
全身麻酔下開頭術後の顎下腺腫脹による気道狭窄に対し,外科的気道確保を必要とした1例
平井 亜葵丹下 和晃川嶋 浩平谷奥 匡畑埜 義雄
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2011 年 31 巻 2 号 p. 305-308

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抄録

  全身麻酔後に発生する,耳下腺の浮腫はanesthesia mumpsとして報告されているが,同じ唾液腺に含まれる顎下腺に腫脹をきたした症例の報告はない.今回,顎下腺腫脹をきたした症例を経験したので報告する.67歳の女性.全身麻酔下に開頭腫瘍摘出術が行われた.術後,十分な自発呼吸を確認し手術室で抜管した.退室時,顔面や頚部の腫脹は認めなかった.術後2時間から頚部腫脹を認め,術後4時間で呼吸困難感が出現した.CT上,顎下腺の浮腫が原因と考えられた.気道閉塞の危険性を考慮し,手術翌日に外科的気道確保を行った.全身麻酔後の顎下腺の浮腫は非常にまれと思われるが,外科的気道確保を必要とする可能性もあり留意すべきと考えられる.

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© 2011 日本臨床麻酔学会
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