2011 年 31 巻 2 号 p. 309-313
症例は96歳,女性.急性胆嚢炎に対して緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行され,吸入麻酔薬による全身麻酔と硬膜外麻酔で管理した.気腹開始約50分後より呼気終末二酸化炭素分圧が上昇し,右胸部に限局した皮下気腫を認めたが,手術の進行状況を考慮し腹腔鏡手術を継続した.皮下気腫の範囲は増大しなかったが,呼気終末二酸化炭素分圧の是正には苦慮した.手術終了後に覚醒を確認して抜管したが,後に意識レベル低下と呼吸抑制を認め再挿管を行った.翌日には抜管可能となったが,超高齢者における皮下気腫症例では,二酸化炭素換気応答の低下や麻薬残存による呼吸抑制などが重なり,高二酸化炭素血症が発症しやすいために注意が必要である.