これまで輸液療法は計算により行われてきたが,計算に則り晶質液を使用することが大量投与につながり,合併症の原因となっている.循環血液量(BV)を実測すると十分な輸液をしてもBVは保たれないこともあり,晶質液のBVへの効果は一過性であることがわかる.SVV(stroke volume variation)やSV(stroke volume)を応用したgoal-directed fluid therapyは実際に血漿増量効果を確かめながら,個々の症例に合わせた輸液管理ができるとして注目されている.適切なアルゴリズムに従い,血漿増量効果を確かめると膠質液の投与量が増加し,晶質液の使用が減少することが示されている.輸液反応性の指標を適切に使用することが重要であり,晶質液の大量投与を防ぐことにより輸液による合併症を減らすことが期待される.