2011 年 31 巻 3 号 p. 513-520
内視鏡による脊柱管の観察は1930年代に初めて行われた.当時使用された内視鏡は外径の大きい硬性鏡であったが,医用画像技術の進歩により最近では直径1mm以下の軟性鏡が開発され,馬尾の血流や硬膜外腔の構築などが安全に観察できるようになった.1995年には硬膜外腔の内視鏡が腰痛の治療法に応用された.米国で始められたこの方法は,エピドラスコピー,硬膜外腔内視鏡,Spinal canal endoscopyとして世界各国に広まり,難治性の腰下肢痛の診断治療に応用されてきた.わが国では2000年にエピドラスコピー研究会が発足し有効性や合併症などが討論され,厚生労働省の先進医療として施行されている.