日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第30回大会 特別企画 ─若い麻酔科医に聞かせたい私の失敗学─
失敗学総論ならびに自験例
藤森 貢
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キーワード: 失敗, 誘因, ANTS, 失敗例
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2011 年 31 巻 4 号 p. 637-640

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抄録

  「勝ちに不思議の勝ちあり,負けに不思議の負けなし」という名言のごとく,医療における失敗もその誘因が考えられる.失敗というものは(1)知識不足,(2)技術力不足,(3)手順,ルール違反(手抜き),(4)偶発(多因子が重なる)によるといわれている.事故防止の取り組みとしてAnaesthetists’ non-technical skills(ANTS)の重要性が提唱されている.これはパイロットに対するNOTECHS systemと同様で,麻酔学の知識や技術以外に重要な因子として(A)職務遂行能力,(B)チームワーク,(C)状況判断,(D)決断力などを評価するというものである.成功からは得るものは少ないが失敗からは多くを学ぶことができる.筆者の半世紀にわたる臨床麻酔の中で経験した失敗例も記し,前車の轍を踏まないための一助としたい.

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© 2011 日本臨床麻酔学会
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