日本臨床麻酔学会誌
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原著論文
生体肝移植患者における凝固機能と出血量および輸血量の関連
宇佐美 博子一ノ宮 大雅松本 周平津田 敦前川 拓治澄川 耕二
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2011 年 31 巻 5 号 p. 860-864

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抄録
  生体肝移植患者では肝機能障害に伴う凝固機能障害,門脈圧亢進症のため,手術中に大量出血することがある.今回,生体部分肝移植症例40例を対象とし,周術期ヘモグロビン値(Hb),血小板数,凝固機能検査と術中・術後の出血量,輸血量を後ろ向きに調査した.術中出血量に関しては執刀前のHb,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を含む回帰式が得られ,執刀前のHb,プロトロンビン時間(PT-INR),APTTは術中赤血球輸血量との関連性を示した.術後3日間の赤血球輸血量と終刀時凝固機能検査には相関を認めなかった.執刀前のHb,PT-INR,APTTは,術中出血量と輸血量の指標になると考えられる.
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© 2011 日本臨床麻酔学会
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