抄録
ミトコンドリアは心筋に対する麻酔薬プレ・ポスト両コンディショニングのメカニズムにおいて中心的な役割を担っている.ミトコンドリアはこれら心筋保護効果において,トリガーの一部になるだけでなく,細胞死を防ぐ方向性を持った細胞内シグナリングの最終ターゲットにもなっている.麻酔薬によりミトコンドリア膜透過性遷移孔(mitochondrial permeability transition pore:mPTP)の開口が阻害され,ミトコンドリアのATP産生機能が維持される.その結果ATPを用いた細胞内カルシウム濃度の恒常性を保つ機能が保持され心筋細胞が保護される.