日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
フェンタニル貼布剤(デュロテップ®MTパッチ)剥離後6時間で退薬症状が出現したと考えられる1症例
石川 義継鳥越 桂平賀 一陽福田 貴介渋谷 鉱高地 明
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2012 年 32 巻 3 号 p. 381-383

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抄録

  非オピオイドや弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な癌性疼痛や慢性疼痛の患者に,フェンタニル貼布剤を用いた鎮痛が行われる.今回,常用中のフェンタニル貼布剤(デュロテップ®MTパッチ)8.4mg/3日を手術直前に剥離後,6時間を経て退薬症状が生じた症例を経験した.術後(剥離6時間後)に多呼吸や頻脈,発汗過多といった退薬症状が出現した.フェンタニル持続静注を2日間行い治療した.低体温による皮膚血流低下,全身状態不良や術中出血量の程度により血清フェンタニル濃度低下をきたした可能性がある.フェンタニル貼布剤常用患者では,剥離後早期に退薬症状が出現する可能性もあるため,周術期管理に注意を要する.

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© 2012 日本臨床麻酔学会
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