抄録
症例は35歳の男性.巨大前縦隔腫瘍により気管圧迫,右主気管支狭窄,右肺動脈閉塞,上大静脈完全閉塞をきたしており,全身麻酔下に腫瘍摘出術が予定された.膜型人工肺をスタンバイした後,意識下に気管支鏡ガイド下で内径5.0mm,長さ35cmの気管チューブを先端が気管分岐部直上になるように挿入した.換気が可能であることを確認した後に,全身麻酔を開始した.術中に頭部の還流障害を認めたが腕頭静脈-上大静脈基部バイパス作成により改善した.本症例では術前に綿密な評価および対策を行うことにより致命的な換気不全や循環虚脱を回避し得た.