101歳の超高齢女性が持病である骨粗鬆症と変形性腰椎症による腰痛の増悪の診断で入院し,その3日後に腰部の腫瘤と腸閉塞症状を呈した.CT所見において後腹壁からの腸管の脱出を認め,腰ヘルニアと診断され緊急開腹術が施行された.手術所見は特発性上腰ヘルニアであり,腸管壊死や腹膜炎は認めずに修復され,再発も認めず術後腰痛も消失した.腰ヘルニアは腰背部腹壁の脆弱部位から発症するまれな疾患であるが,腰痛や腰部腫瘤といった非典型的な症状によりしばしば診断が遅延する.高齢女性に多く,ヘルニア内容が腸管の場合は腸閉塞や腸管壊死,腹膜炎から緊急開腹術となる可能性が高く,麻酔科医としても念頭に入れておくべき疾患と思われる.