2017 年 37 巻 4 号 p. 498-504
食道閉鎖症は新生児早期に手術の適応となる先天性疾患である.その85%を占めるC型における麻酔上の問題点は,気管食道瘻(TEF)があることによる肺の換気不良および胃へのガス流入が最も重要であり,それに加えて低出生体重や心疾患を含めた合併奇形への対応があげられる.気管チューブの位置異常により換気不良から低酸素に陥る可能性があり,TEFの位置,太さおよび気管チューブ先端との関係を気管支ファイバースコープで確認する.TEFの結紮までに換気を保ち胃へのガス流入を防ぐために低い気道内圧での換気,気管チューブ先端の位置調整,フォガティーカテーテルのTEF内への挿入などが行われる.