2018 年 38 巻 3 号 p. 322-329
痒みは掻きたいという欲望を生じる感覚である.痒みにはヒスタミン受容体を介するものだけではなく,プロテイナーゼ活性化受容体やMas関連G蛋白質共役受容体を介する非ヒスタミン依存性の痒みが存在する.オピオイドにより生じる痒みは麻酔科医にとって最も身近な痒みであろう.残念ながらオピオイドによる痒みは発生率が高いにもかかわらず,標準的な治療や予防法がないのが現状である.最近,オピオイドによる痒みの機序の一部がガストリン放出ペプチド受容体を介することにより生じることが明らかとなってきた.さまざまな薬剤を用いたオピオイドによる痒みに対する臨床研究が行われており,今後の痒みの研究が発展することを期待したい.