2019 年 39 巻 2 号 p. 226-231
多施設参加の第1回高機能患者シミュレータ(HPS)ワークショップを2002年12月に大阪で開催して後,日本医学シミュレーション学会のもとで,2018年まで28回のHPSワークショップを開催した.HPSの技術バックボーンは1995年に開発されたマネキンをマン・マシンインターフェースとして使用したコンピュータ上に構築された生理学的モデルの具体化に基づいているが,近年では高速インターネット通信の発展による遠隔シミュレーション講習(TelSim)や,拡張現実をHPSワークショップに追加すること,さらには仮想現実技術による仮想的環境下でのシミュレーションなど,近未来の技術に伴う変革が行われようとしている.今回,「想像し,創造して,現場に活かす」の主題の一つとしてこうした技術を背景とするHPSの未来に向けた想像的思考を述べる.