2019 年 39 巻 3 号 p. 287-295
脂肪乳剤による局所麻酔薬中毒治療のメカニズムは,scavenging effectとnon-scavenging(direct)effectに大別される.前者は従来lipid sinkとされたものである.Non-scavenging effectとして,容量効果,心筋へのエネルギー供給の改善,ミトコンドリアの保護作用,インスリンシグナリングの改善などが挙げられる.米国区域麻酔学会から発表されている「局所麻酔薬中毒治療のチェックリスト」第3版での主な改訂点は,体重70kg以上の患者に対しては,「bolusで100mL,その後200〜250mLを15〜20分かけて投与」とされた点である.代表的な副作用として肺障害と膵炎が挙げられる.