2019 年 39 巻 4 号 p. 408-414
手術室で発症するアナフィラキシーショックは,発生頻度は低いものの,対応を誤れば生命に危険が及ぶため,迅速かつ適切に対応しなければいけない.原因薬剤としては,筋弛緩薬とその拮抗薬,抗生剤が多い.診断には臨床症状のほか,血液中のヒスタミン・トリプターゼの濃度測定が有用である.薬物治療の第一選択はアドレナリンである.原因薬剤の同定には皮膚テストがゴールドスタンダードであるが,in vitroで実施できる好塩基球活性化試験は有望な検査である.原因薬剤が同定されないまま放置されると,次の手術で患者を危険に晒す可能性があるため,アナフィラキシーの原因をつきとめておくことが麻酔科医の責任だと考える.