2019 年 39 巻 4 号 p. 460-466
手術室火災に対して病院内に消防法で設置が義務づけられているABC消火器を用いた場合,たとえ初期消火に成功したとしても,消火器から放出された微細な消火剤粉末が手術室全体に飛散し,ほとんどの医療機器が汚損する.その機器の汚損回避のためには,二酸化炭素消火器の利用が有効となるが,義務設置として導入することは難しい.ただし,消防法令に則って義務設置とされた消火設備等が適正に配置されている病院に対しては,自主設置として二酸化炭素消火器を導入することは可能である.二酸化炭素消火器を自主的に導入する場合,所轄消防に相談するとともに,使用者は消防訓練等を通してその操作法や危険性について理解することが大切となる.