心不全患者の睡眠関連呼吸障害は,50%と高頻度であり,そのうち半分は中枢性睡眠時無呼吸(CSA)であり,閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)とCSAの間で病型の変化が生じる.また,客観的には眠気があるのに,自覚的眠気が乏しいことが特徴である.その病態には,呼吸の不安定性や体液移動が影響する.治療は病型により,OSAでは持続陽圧呼吸療法(CPAP)が第一選択となる.CSAを呈する場合には,心不全に対する十分な薬物療法を行うことが重要で,残存するCSAに対し,CPAP,ASV,酸素療法が行われる.ASVによる多施設ランダム化比較試験では,予後の改善は示されていない.周術期には,麻酔等の影響で,睡眠関連呼吸障害が顕在化,病型変化する可能性がある.