日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
低流量低圧較差AS合併狭心症患者に対するOPCAB,TFTAVI合併手術におけるレミマゾラムを使用した麻酔管理
本田 潤箱﨑 貴大小原 伸樹井上 聡己
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2023 年 43 巻 5 号 p. 400-405

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抄録

レミマゾラムは超短時間作用型のベンゾジアゼピンで,循環抑制作用が弱いが,低流量低圧較差大動脈弁狭窄症(LFLG-AS)を合併した低心機能患者の心臓手術における安全性は報告されていない.今回LFLG-AS患者に対するOPCABとTAVI合併手術において,レミマゾラムで安定した循環を維持することができた症例を報告する.80歳の男性が虚血性心筋症でLFLG-ASを合併しており冠動脈バイパス手術と大動脈弁置換術が必要であった.患者は人工心肺を使用した場合人工心肺離脱困難の可能性が高かったため,OPCABとTAVI合同手術が予定され,循環抑制の少ないレミマゾラムとレミフェンタニルでの静脈麻酔が選択された.術中はノルアドレナリンとドブタミンを適宜使用して,大きな循環の低下はなく手術は終了した.レミマゾラムは循環抑制が弱く,LFLG-AS患者におけるOPCABとTAVI合併手術においても安全に使用できた.

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© 2023 日本臨床麻酔学会
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