医療における患者の自己決定権の発露として,人工呼吸器の不装着及びその取外しが問題とされているところ,そもそも,人工呼吸器の不装着については,装着しないという医療上の決定に基づく医療行為と考えられているのに対し,人工呼吸器の取外しは違法行為であるとの認識が根強い.しかしながら,医師による患者の治療義務の存在を前提とする限り,不装着も取外しも,不作為か作為の違いだけで,法的には同価値を有するものであり,犯罪の成否に関しては同様に扱われるものとなるはずである.しかるに,不装着という不作為が医療行為の一環として認識され,これが妥当なものとして医療界で通用しているのであれば,取外しも同様に考えなければ,論理的に一貫しないことになる.