抄録
分娩後に発症した呼吸不全(肺水腫)7例の臨床的検討を行った.発症頻度は0.15%であり,産科合併症として全例に妊娠中毒症が見られたことが特徴的であった.Swan-Ganzカテーテルによる血行動態の観察と膠質浸透圧の測定により,7例の肺水腫は左心不全によるもの(2例)・静水圧-膠質浸透圧差の変化によるもの(2例)・毛細血管透過性の亢進によるもの(3例)に分類された.これらの病態の解明並びに治療を的確に行うために,Swan-Ganzカテーテルを使用したセントラルモニタリングが産科領域での重症患者の管理にも有用であることが改めて認識された.