抄録
麻酔前投薬として4ヵ月から5歳の日帰り手術患者にファモチジン1mg/kgをジアゼパム注射液で溶解して直腸内に投与し,導入時の胃液に対する効果を検討した.ジアゼパムのみのコントロール群に対しファモチジン群で胃液pHは有意に上昇したが,胃液量には差はなかった.胃液pHと胃液量による効果判定では著効例(胃液pH2.5以上,胃液量0.4ml/kg以下)はコントロール群32%,ファモチジン群79%であった.ファモチジン投与30分後の平均血漿中濃度は103ng/mlであった.ファモチジン直腸内投与時の吸収および効果発現は早く,簡便で確実な誤嚥性肺炎の予防法と考える.