抄録
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であるニカルジピンの利尿作用の発現機序を検索した.開腹手術時の血圧上昇に対してニカルジピンを持続注入すると,血圧下降とともにナトリウム利尿が認められた.
対照群のフロセミドによる利尿作用と著しく異なる点は無機リンの排泄増加が顕著に認められる点である.このリンの排泄増加はクレアチニンクリアランスや血漿のリンレベルとは無関係であった.通常,糸球体を通過したリンはほとんどすべて近位尿細管で再吸収されることから,ニカルジピンによる利尿作用の発現機序には近位尿細管の再吸収抑制が重要な役割を果たすと考えられる.