日本臨床麻酔学会誌
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高位脊髄損傷患者の自然分娩の1例
橋本 悟橋本 朋子佐和 貞治細川 豊史田中 義文森 治彦
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1991 年 11 巻 1 号 p. 101-105

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抄録

高位脊損者の妊娠,自然分娩を経験した.高位脊損者の妊娠分娩には種々の問題点があるが,なかでも自律神経過反射症(AH)の管理が重要なポイントとなる.分娩に関しては帝切の適応も考えられるが,AHさえコントロールできれば自然分娩が選択されるべきであろう.その際の管理法としては硬膜外麻酔法が最も適当であると考えられた.本例でも麻薬および局麻薬による硬膜外麻酔によりAHを防止しえた.脊損者の場合たとえ初産であってもその分娩経過は急速であることが多いこと,分娩予知も困難であること,また分娩前後に存在するAHも防止すべきであることなどを考慮すべきである.そのためには早期入院管理により,硬膜外チューブを早い時期から挿入,管理することが好ましいと考えられた.

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