1991 年 11 巻 1 号 p. 106-111
生後8ヵ月の先天性気管狭窄症の気管再建術に際し,外科医との協力体制と一貫した周術期麻酔科管理により無事救命し得た症例を経験した.特に術中において,狭窄部切断後では術野から換気を行い,気管再建中は狭窄部を通過しうる太さの特製チューブを,既に挿入されていた内径4.0mmの経口気管内チューブの内腔を通して挿入し換気を行った.用いた特製チューブは全長25cm,外径2.5mmであり,このチューブを介する約15分間の純酸素による換気中にPaCO2値は最高121mm Hgまで上昇したが,PaO2値は約400mm Hgを保っていたことや,循環動態も安定していたことから術中の不測の事態に備えて準備した人工肺を使用するには至らなかった.