日本臨床麻酔学会誌
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プロスタグランジンE1の体循環および肺循環に及ぼす影響
神山 有史木村 英之赤澤 多賀子安元 聰之樋口 精一斎藤 隆雄
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1991 年 11 巻 5 号 p. 563-569

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抄録
プロスタグランジンE1 (PGE1)が体循環および肺循環に及ぼす影響を,笑気-酸素-エンフルレン麻酔下の7名の手術患者で投与量を50, 100, 150ng・kg-1・min-1と段階的に増量して検討した.降圧効果の安定には約20分を要し,動脈圧は50ng・kg-1・min-1で著明に低下したがそれ以上の増量効果は少なかった.肺動脈圧および肺動脈楔入圧は軽度であるが有意に低下した.心係数は有意に増加した.体血管抵抗および肺血管抵抗は有意に低下した.動脈血酸素分圧は低下傾向,混合静脈血酸素分圧は上昇傾向を示した.投与中止約60分後に動脈圧は対照値に回復したが,心係数は対照に比し有意に高値を,体血管抵抗は有意に低値を示した.肺血管抵抗は対照値と変わらなかった.動脈血および混合静脈酸素分圧はともに対照に比し有意に高値を示した.PGE1は体循環の動脈系には緩徐に長時間作用するが,肺血管への作用は早期に消失すると考えられる.
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